目線を上げただけで、世界が変わった日
城戸アラタです。連載第7回では、選手練習で得た気づきと、実践期における練習メニューの固定化についてお伝えします。
昨日、キックボクシングの選手練に参加しました。
正直に言えば、内容自体は派手なものではありません。
しかし、「できたこと」と「できなかったこと」——この差が、ここまで明確に出た練習は久しぶりでした。

目線を上げただけで、見える世界が変わった
今回、最も大きかった変化は、非常にシンプルなものでした。
目線を上げた——ただそれだけです。
しかし、その効果は劇的でした:
- 相手のパンチが見える
- 被弾が減る
- ブロック後にリターンが返せる
「試合の入口」に立てた感覚——これが、今回得られた最大の収穫です。
具体的な効果:
- 右ミドルキック
- 右ローキック
この2つが、しっかりと効いている感触がありました。
力を入れたわけではありません。見えている状態で当てられた——ただそれだけです。
しかし、これがどれだけ大きな変化か、格闘技をされている方なら理解していただけると思います。
一方で、出なかった技術もある
手応えがあった反面、課題もはっきりしました。
出せなかった技術:
- 左の前蹴り
- 左の三日月蹴り
- 膝蹴り
これら3つが、ほとんど出ませんでした。
原因の分析:
技術がないというわけではありません。頭と体がまだつながっていない——そういう感覚です。
だからこそ、今は新しいことを増やす段階ではありません。
実践期に入ったら「増やさない」——これが重要
ここが、非常に大事なポイントです。
実践期に入ったら、練習メニューは増やしません。固定します。
実践期の3つの原則:
- 出た技は、削らず磨く
- 出ない技は、軽くして「出る癖」を作る
- 毎日、同じ流れを体に通す
この原則に基づいて、以下のルーティンを構築しました。
実践期・毎日の基本ルーティン(60〜75分)
以下が、実践期における固定メニューです。
①ウォームアップ(10分)
目的:怪我防止 + 今日の体の状態確認
内容:
- 軽い縄跳び または 足踏み:2分
- 股関節・足首回し:2分
- 肩・肩甲骨回し:2分
- 軽いシャドーボクシング(目線高く):4分
②目線・ガード確認シャドー(5分)
目的:パンチを「見る状態」を固定する
意識するポイント:
- ガードは高めに
- 目線は「相手の目〜肩」
- 想定する流れ:
– ジャブ→ブロック→ワンツー
– ワンツー→ブロック→左フック
重要事項:
- 強度は低くても構いません
- 「見る癖」を毎日刻むことが目的です
③パンチ基礎(10分)★重点項目
基本パンチ練習(6分):
- ジャブ連打(リズム重視):2分
- ジャブ→左フック:2分
- ワンツー→左フック:2分
固定技術:ボディジャブフェイント→右ストレート(4分)
実施方法:
- 前半:シャドーボクシング
- 後半:サンドバッグ または 強めのシャドー
技術ポイント:
- フェイントは腕ではなく体全体
- 目線と重心を一瞬落とす
- 止まらず流れで打つ
この技術は絶対に外しません。毎日実施します。
④キック基礎(15分)
目的:得意技は精度向上、課題技は習慣化
得意技(当てる):
- 右ローキック(前足):10本
- 右ローキック(奥足):10本
- 右ミドルキック:10本
課題技(出す癖をつける):
- 左三日月蹴り(軽く速く):10本
- 右三日月蹴り(軽く速く):10本
- 左前蹴り(押すだけ):5〜10本
重要な意識:
- 左の技は威力ゼロで構いません
- 当てない・止めない・すぐ戻す
⑤ディフェンス + リターン(10分)
重点:右ミドルキック対策を毎日固定
構成:
- A. カット準備:3分
- B. フェイント対応:3分
- C. カット→即リターン:4分
重要:守って終わらせません。
⑥膝蹴り特化パート(5〜7分)
目的:左膝蹴りを「出る形」に固定する
A. ガード前進→左膝蹴り(2分)
- シャドー または サンドバッグ
- 力:6割
- 戻しを最優先
意図:前に出る = 膝蹴りが出る、を体に覚えさせる
B. 押し→膝蹴り(2分)
- サンドバッグに軽く体当たり
- 押して→左膝蹴り
- 10〜15本
意図:組まなくても膝蹴りは出せる。距離ゼロの圧を作る。
C. コンビネーション連携(1〜3分)
以下から1つだけ選択:
- ブロック→左膝蹴り→右ローキック
- 左膝蹴り→離れて右ローキック
- 左膝蹴り→左フック(軽く)
意図:膝蹴りで終わらせない。次の一手まで含めて「技」とする。
⑦コンビネーション(10〜15分)
目的:試合で自然に出る形を作る
以下から2〜3個だけ選択:
- ジャブ→右ローキック
- ジャブ→左フック→右ローキック
- ブロック→左フック→右ローキック
- ジャブ→左三日月→右ローキック
- 左三日月→右ミドルキック
重要原則:
- 同じ形を反復する
- 新しいものは増やさない
意識するのは、この4つだけ
練習中、常に意識すべきポイントを4つに絞ります:
- 目線は高く保つ
- パンチ→蹴りを必ずつなぐ
- 力よりもスピードと戻しを重視
- 左は「効かせる技」ではなく「準備の技」
左の技が出たら、それだけで勝ちです。効かせる必要はありません。
実践期とは「削る時期」である
調子が上がってくると、人は以下のことをやりがちです:
- 技を増やす
- 強く蹴る
- 派手な動きを狙う
しかし、今は違います。
削って、軽くして、速くする——これが実践期の正しいアプローチです。
これを続ければ、左前蹴りと左三日月蹴りは「考えずに出る技」になります。
最後に——今は固定するフェーズ
今回の練習で得た最大の学びは、シンプルでした。
目線を上げるだけで、すべてが変わる。
そして、それを確実にするために必要なのは:
- 新しいことを増やさない
- メニューを固定する
- 毎日同じ流れを体に通す
今は、積み上げる時期ではありません。固定する時期です。
実践期に入った以上、あとは淡々とやるだけです。
城戸アラタ選手練で見えた明確な差——できたことと、できなかったこと。この差を埋めるために、実践期は「増やす」のではなく「固定する」時期です。同じメニューを毎日繰り返し、体に刻み込む。目線を上げるだけで世界が変わった経験が、その重要性を証明しています。
城戸アラタ
Parallel Life Method


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