こんにちは、城戸アラタです。
連載「40代・50代から始めるClaude Cowork入門」は、第4回で一区切りでした。
でも、第4回の公開後にいただいた声でいちばん多かったのが、これです。
「自動化したい仕事はあるんだけど、そもそも過去のメモが多すぎて、何から手をつけたらいいかわからない」
分かります。
40代・50代になると、“溜まっているもの”の量が、20代の頃とはまるで違う。
- iPhoneのメモアプリに、思いついたアイデアが500件以上
- パソコンの「資料」フォルダに、名前のないPDFが積み上がっている
- 議事録・読書メモ・セミナー受講ノートが、探したい時に絶対に見つからない
これらは、20年かけて積み上げてきた あなたの財産 です。
でも今は、ただの”散らかった山”になっている。
第5回のキーワードは 「Obsidian × Cowork」。
溜まりに溜まったメモを、AIが読める”知識ベース”に変える方法をお届けします。
導入後、何が変わるのか(Before / After)
機能の話に入る前に、先に結果のイメージから。
| 場面 | Before(これまで) | After(Obsidian × Cowork) |
|---|---|---|
| ブログのネタ探し | 毎週「何を書こう」で1時間悩む | 「過去メモから今週書ける記事を3本提案して」で30秒 |
| 商談前のリサーチ | 過去のやり取りを掘り返すのに30分 | 取引先名を伝えるだけで、過去の議事録から要点を抽出 |
| 読書メモの活用 | 読んで終わり。半年後には何を読んだかすら忘れる | 「先月読んだ本から、いま使える知識を3つ」で蘇る |
| 新企画の立ち上げ | ゼロから考える | 過去のメモを横断して”自分の蓄積”から発想できる |
| 確定申告の補足資料 | 領収書のメモが見つからない | 「2025年12月の打合せメモを全部出して」で一覧化 |
40代以降の強みは、「20年分の積み上げ」です。
その積み上げを、AIに読ませて初めて“動く資産”になります。
そもそもObsidian(オブシディアン)って何?
一言で言うと、“自分専用のWikipediaを、自分のパソコンの中に作るツール” です。
- 1ファイル=1メモ。すべて普通のテキストファイル(.md)として保存される
- クラウドではなく自分のパソコンの中にデータが置かれる(=AIに読ませやすい)
- メモ同士をリンクでつなげて、自分だけの知識マップを作れる
- 無料。個人利用なら追加料金は一切なし
専門用語では 「Vault(ヴォルト=金庫)」 と呼びますが、要は “メモ全部を入れておく1つのフォルダ” です。
このVault自体が、ただのフォルダであることが、Coworkとの相性が抜群な理由です。
第2回で学んだ「Coworkはフォルダを丸ごと任せられる」を覚えていますか?
Obsidian Vaultは、まさに “丸ごと任せるのにちょうどいい形”で整っているフォルダなんです。
城戸の実例:私のVaultはこうなっている
正直に告白します。私のVaultは もともと”散らかった山” でした。
- 「無題のファイル」が30個以上
- iPhoneから飛ばしたメモが、日付バラバラで埋もれている
- 大事なはずの “城戸アラタ” 用のメモと、家計簿が同じ階層に同居
これをCoworkに任せて、1ヶ月で生まれ変わらせた のが、いま私が運用しているVaultです。
大まかな構造はこうなっています。
Obsidian Vault/
├─ 城戸アラタ/ ← 公開ブランディング素材
│ ├─ 独立まとめページ/
│ ├─ メルマガ下書き/
│ └─ SNS投稿アーカイブ/
├─ AIツール/ ← 学習中のAIツールメモ
├─ 物販/ ← 仕入・販売・売上メモ
├─ ジム・トレーニング/ ← フィジカル軸
├─ 議事録/ ← 商談・打合せの記録
└─ 雑メモ/ ← まずここに放り込む"受け皿"
大事なのは、「最初から完璧に整理しようとしない」 こと。
「雑メモ」フォルダがあるだけで、“とりあえず放り込む場所” が確保され、メモの取りこぼしが激減します。
あとはClaudeに「雑メモを月に1回、適切なフォルダに振り分けて」と頼むだけ。
これが “溜めても散らからない仕組み” の正体です。
STEP 1:Obsidianをインストールして、Vaultを作る
すでにObsidianを使っている方は、このSTEPは読み飛ばしてOKです。
- 公式サイト https://obsidian.md/ を開く
- 「Get Obsidian for Mac / Windows」のボタンを押してダウンロード
- インストール後、起動して 「Create new vault(新しい金庫を作る)」 を選択
- Vault名:「Obsidian Vault」 など分かりやすい名前に
- 保存場所:「書類」または「Dropbox」配下 がおすすめ(後でCoworkに見せる場所)
つまずいたら:第1回で説明した通り、画面のスクリーンショットをClaudeに貼って「これは何?どこを押せばいい?」と聞くのが一番早いです。
STEP 2:VaultフォルダをClaude Coworkに接続する
第2回でやった「Coworkに作業フォルダを選ばせる」と同じ操作です。
ただし、選ぶフォルダがVaultになる、という点だけが違います。
- Claudeデスクトップアプリを開き、Coworkモードに切り替える
- 「フォルダを選択」を押す
- STEP 1で作った Obsidian Vaultフォルダ を選ぶ
- 「このフォルダの中身を読んで・書いてOK」の確認に同意
これだけで、Claudeがあなたの全メモを読める状態になります。
⚠️ 接続前に必ず確認:
- パスワード・カード番号・マイナンバーがメモに含まれていないか
- 家族や仕事相手の個人情報を含むメモがある場合は、別フォルダに退避
- 第1回で「学習協力 OFF」を済ませているか再確認
Vault全体をAIに見せる、というのは “自分の頭の中をひとつ開示する” ことに近いです。
その分、安全面の確認は念入りに。
STEP 3:Claudeに「Vaultの目次(地図)」を作らせる
接続が終わったら、最初にやることはたった1つ。
Claudeに「Vault全体を読んで地図を作って」と頼みます。
▼ コピペで使えるプロンプト①:Vaultの地図化
このVault(Obsidianのフォルダ)を全部スキャンして、以下を作ってください。
1. トップ階層のフォルダ一覧と、それぞれの中にあるメモの大まかな数
2. 各フォルダで「よく出てくるテーマ・キーワード」を3つずつ
3. 「整理されているフォルダ」「散らかっているフォルダ」の判定
4. 散らかっている箇所について、改善提案を3つ
最終出力は、Vault直下に「_目次_AI生成.md」というファイルで保存してください。
送信して数分。
Claudeが “あなたの頭の中の地図” を1ファイルにまとめてくれます。
私自身、初めてこれをやった時は驚きました。
「自分はこの3年、こんなことばかり考えていたのか」 という、過去の自分との対面が起こります。
過去メモから提案を引き出す「3つのプロンプト」
地図ができたら、いよいよ“溜めたメモを動かす”段階。
40代・50代の実生活ですぐに効く3つのプロンプトを用意しました。
① ブログ・SNSの記事ネタを掘り起こす
想定成果:1週間分の記事ネタが30秒で揃う / 所要時間:1分
Vault全体を読んで、いま私が書ける「ブログ記事の種」を5本提案してください。
条件:
- 過去のメモ・議事録・読書メモから、自分が"何度も触れているテーマ"を選ぶ
- 40代・50代男性が読みたくなる切り口にする
- 各案に「タイトル案」「想定読者」「結論の方向性」を1行ずつ添える
- すぐ書けるものから順に並べる
“何を書こう”で固まっていた毎週の30分が、ゼロになります。
② 散らかった議事録を「1枚要約」に変える
想定成果:商談前の準備時間が30分→5分 / 所要時間:2分
「議事録」フォルダの中から、◯◯株式会社(または◯◯さん)に関連するメモをすべて拾い、
1枚のサマリーに整えてください。
入れてほしい項目:
1. これまでの打合せの流れ(時系列・3行以内)
2. 相手のキーパーソンと、相手が気にしている論点
3. 前回の宿題と、まだ未対応のもの
4. 次回打合せで切り出すと良い話題3つ
40代以降の商談は、“記憶力”より”記録の引き出し速度”で決まります。
③ 過去の自分から学ぶ「再読プロンプト」
想定成果:読書メモが”忘れられないインプット”に変わる / 所要時間:3分
過去6ヶ月のうちに私が書いた読書メモ・セミナー受講メモを全部スキャンして、
以下の3つを出してください。
1. 「いま私が直面している課題」に効く知識・引用 5つ
2. 当時はピンと来なかったが、いま読み直すと刺さりそうな一節 3つ
3. 似たテーマのメモ同士をつなげて、新しい仮説を1つ提案する
これは、“過去の自分が、いまの自分に話しかけてくる” ような体験です。
本を読んでも忘れる時代に、読んだ知識を”動く資産”に変える 唯一の方法だと感じています。
「溜めても散らからない」運用の3ルール
- 「雑メモ」フォルダを作る:迷ったら全部ここに放り込む(整理の判断を後回しにできる)
- 月1回、Claudeに棚卸しをやらせる:第4回で学んだ”定期タスク”で予約実行(毎月1日 朝9時など)
- “完璧な構造”を目指さない:Vaultは育てるもの。最初から綺麗である必要はない
▼ 月1棚卸しの定期タスク プロンプト例
毎月1日 朝9時、以下を自動実行する定期タスクを作ってください。
1. Vault直下の「雑メモ」フォルダを開く
2. 各メモの内容を読み、適切なテーマ別フォルダ(物販/議事録/読書メモ など)に振り分ける提案を出す
3. 「これは捨ててもいい」と判断したメモは、別途「_アーカイブ提案」フォルダに移動を提案
4. 結果はサマリーレポートとして「_棚卸_西暦年月.md」に保存
※実際の移動は、私が確認してから手動でOKを出す形にしてください
これで、“散らかしても勝手に片付く” 状態が完成します。
⚠️ よくあるつまずきと、回避策
① Vaultが大きすぎてClaudeが読み切れない
3,000ファイルを超えるVaultでは、一度に全部を読ませようとすると重くなります。
対策:「フォルダ単位で指示する」 こと。
「議事録フォルダだけ見て」「物販フォルダだけ見て」と範囲を絞ると、精度もスピードも上がります。
② 画像・PDFは中身が読まれないことがある
Vault内に画像やPDFが多い場合、それらの中身は別途OCR(画像から文字認識)が必要です。
対策:大事なPDFは、Claudeに「このPDFを読んで.mdファイルにテキスト化して」と一度頼んでおく。
以降はテキスト版を残しておけば、Claudeがいつでも読めます。
③ Claudeが勝手にメモを書き換えてしまわないか心配
初期設定では、ファイルの新規作成・編集には毎回確認が入る仕様です。
不安な方は、最初の1ヶ月は 「読み込みのみ・書き込みは私が手動で」 というルールを第1回の個人設定欄に追記しておくと安心です。
Obsidian Vault内のファイルは、私が明示的に「保存して」と言わない限り、
新規作成・上書き・削除は絶対にしないでください。
変更したい時は、その内容を提案として表示するだけにしてください。
応用:メモ → ブログ → メルマガ の連鎖を作る
Vaultが整うと、本当の楽しみはここから始まります。
1つのメモを3つの形に変換して、コンテンツとして循環させられるようになるのです。
- 議事録メモ → ブログ記事の下書き
- ブログ記事 → メルマガ用の3行抜粋
- メルマガ反応 → 次の記事ネタとしてVaultに戻す
つまり、“書いたものが、また次のネタを生む” 循環構造です。
これを支える土台が、Obsidian Vaultそのもの。
40代以降の発信を続けるコツは、「書く労力ではなく、循環の設計」にあります。
ここまでで体感できること
- 過去20年のメモが “検索できる宝箱” に変わる
- “何を書こう””何を話そう”の固まる時間がゼロになる
- 過去の自分のメモから、いまの自分にとっての答えが出てくる
これが、“溜めグセ”が”資産化”に裏返る瞬間 です。
▶ 次回予告
- (第6回 案):Vaultの中身からメルマガ1通を10分で書き上げる仕組み
- (第7回 案):家族・健康・お金のVaultを分けて運用する方法
- (第8回 案):iPhoneショートカットでVaultに即メモを飛ばす
40代・50代の強みは、“これまで生きてきた量”そのもの。
その量を “動く資産” に変える鍵が、Obsidian × Claude Coworkです。
連載は今後も続けます。
続きは次回。お楽しみに。
城戸アラタ|Parallel Life Method
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